• 手術の数値化・視覚化から、人をもっと深く知る。

手術の視覚化

  • 2022年3月22日

外科医の戦略を頭の中から出して、みんなにわかるように画像として表示する。それにより、外科医の負担が減る、教育効果が上がる、ナビゲーション用画像として機能させることが期待できます。

MRIの画像データから作った腰の3D再構成画像です。骨の中のトンネルを通っている神経と椎間板にそれぞれ黄色と青色がついています。撮影する画像データは2Dです。前から見たところ、横から見たところ、下から見たところのそれぞれの画像を見て、おそらく病気はこうなっているだろうと外科医は頭の中でこういう3D画像を作ります。これを手術中にズームインしたり、アウトしたり、見ている方向にクルクル回転したり、自分のナビゲーションとして使っています。マイナビゲーション、マイナビです。マイナビは誰にも見えません。言葉で伝えます。

現在、わたしはこの画像を術前に作成し、術中に見るであろう風景を繋いで動画にしています。手術で削るであろう場所を、この画像上で削ることも可能です。また、ファイルを変換して、3Dプリンターでプリントアウトすることもできます。そのプリントアウトした模型を削って、病気の場所までどのようにして到達するかを検討することもできます。

この画像を作ることで、手術中の外科医の頭の中の仕事の負荷が大幅に減ります。一度、実際に実物大で練習しているとずいぶん手術時間も短縮されます。このように、外科医の頭の中にあった戦略を見えるようにするのが、「手術の視覚化」です。この視覚化された情報を共有すると、教育効果も期待できます。手術の修得にかかる時間(=Learning curve:ラーニングカーブ)というのは、手術が高度化する今、長期化しています。手術時間の短縮のみではなく、ラーニングカーブの短縮にも「手術の視覚化」は貢献すると期待されます。

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