せぼねの解剖学的な構造について考える前に、せぼねがどのような進化を遂げてきたのか、どう生物の身体が発達して来たのかを振り返ってみると、なぜそういう形になったのかに気づきが得られるように思います。
ヒトのせぼねは横から見ると3つのカーブがあります。クビは前に(前弯)、ムネは後ろに(後弯)、コシは前に(前弯)、それぞれ20°程度の曲線をなしています。その滑らかなつながりを実現するクッションとして、おなか側には椎間板、せなか側には椎間関節という関節がそれぞれの動きの理に適った形状をなしています。
もともとせぼねは単純な構造でした。脳と身体の電気配線たる神経をそのトンネル内に通しつつ、身体の動きの軸をなす。神経系を保護しつつ、運動器としての役割を果たす構造になっています。
生物は、海の中にいる時から、水辺を這うようになる時までは、せぼねを横にしならせて移動していました。完全に陸に上がってからは、高速で移動するために、せぼねを縦にしならせ、地面から手足に反発を得るようになりました。
サルは手も移動に利用しましたが、ヒトは足だけで移動するようになりました。サルに立つことを教えると、3ヶ月程度でせぼねにヒトのようなS状のカーブが出現するとのことです。
クビはクビ、ムネはムネ、コシはコシでその関節の構造が違います。それぞれの動きにあった形になっています。面白いので、後日それぞれについて詳しく述べます。