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手術用ナビゲーションの現状

  • 2022年3月28日

現在、せぼねの手術では、2社のナビゲーションシステムが利用されています。その用途は、骨にスクリューを入れる位置決めのサポートです。マーカーを赤外線で検知して、位置情報を提供するシステムです。モーションキャプチャーでゲームのキャラクターの動きを作ったり、スポーツ選手の動きを解析したりするのに活用されている方法と同じです。このマーカー光学式のナビゲーションと、レントゲン撮影を使った従来の方法との比較から、その問題点、今後の開発の課題、開発による効果について説明します。

https://www.brainlab.com/ja/surgery-products/overview-spinal-trauma-surgery-products/spinal-navigation-application/

https://www.medtronic.com/jp-ja/healthcare-professionals/products/neurological/surgical-navigation-systems/stealthstation/stealthstation-s8.html

上記の2社の製品が、現在、国内で使用可能なせぼねの手術をアシストするナビゲーションです。精度は5mmと言われています。用途は主にせぼねの中に金具を入れる時の位置確認です。その効果は安全性の向上と医療関係者の被曝量低下にあります。

費用対効果という点で、従来の方法と比較して、まだ従来の方法を採用する施設が多いのが現状です。従来の方法では、レントゲン透視装置で位置を確認します。この方法でも安全性はかなり高い状況です。ナビゲーションがなくても、外科医自身が、術前の検討、術中の透視画像から、自分自身の頭の中で正確なナビゲーションを行なっているのです。

現在のナビゲーションシステムの問題点は、高価であること、撮影や設定に時間・労力がかかること、2回以上のCT撮影に相当する被曝量を伴うこと、複数のカメラの設置位置・マーカーとの接触によるズレを原因とした精度の低下です。とはいうものの、製品としてたいへん優れており、術中の外科医の負担軽減、安全性向上に貢献しており、これらの問題点が十分に相殺されています。今後どんどん普及すると思われます。

費用対効果、設置方法、被曝量低減の面で、ナビゲーションはさらなる開発の余地は十分にある分野です。患者さんも医療関係者も被曝せずに、今より簡単に、見えないはずの体内の正確な場所を特定できる環境が整うと、内視鏡手術がもっと普及し、医療経済の改善が期待できます。

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