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ドリル指南 1、手振れ対策

  • 2022年4月16日

手がブレない、脳神経外科領域でのその究極は血管外科の吻合術にあります。今回触れるのは、手振れ補正の入り口にある骨を削る場面での対策についてです。わたしの採用する方法は初心者向きです。確実ですが、かっこよくありません。どうやって安全を担保するか、安全を確保しつつどうギリギリを攻めきるか。

安全なドリルの使い方

せぼねの手術で一番傷つけたくないのは神経です。神経に向かって刃物類を進めない、神経に力がかかる方向に操作を続けないというのが、安全な手術操作の条件となります。神経の近くには、神経を保護するために硬い骨があります。ドリルで骨を削り進めると、神経が皮質一枚の向こうという場面を迎えます。ここ1番の仕上げは、神経のそばにドリル先端を靱帯越しに置いて、削りたい場所の深いところから浅い方に向かってドリルを動かします。削り上げることで、神経にドリルが突っ込まないように操作します。

繊細な先端の動かし方

ドリルの先端を右から左に動かす時、まだ神経が遠い時には、手でドリルを動かします。神経のそばまで骨を掘り進めて、仕上げに入る時、手の動きは止めて、腰や膝を使います。作業領域から遠いところのわずかな動きで、手の剛性、ドリルバーのしなりを使って、最後の一皮を処理します。薄くなった骨の向こうに、神経が透けて見える状態を作ります。靭帯の処理をしているときに、いつの間にか、薄くなった骨が靭帯と一緒になくなるというのが、神経に負担のない仕上げになります。

こういうちょっとした工夫が、ロボットに動きを伝える時に、安全な動かし方のプログラムとして組み込まれます。

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