• 手術の数値化・視覚化から、人をもっと深く知る。

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  • 2022年3月21日

https://note.com/szrb/n/n3c827c86c06e

遠隔手術支援については、人が感じる「違和感」が研究対象となります。違和感にはどのような成分があるか、どのように評価し表現するか、どのような解決策を提案するか。

違和感の主成分は、画質と時間差です。

内視鏡の手術では、手術している場所を直接目にすることができません。ですから、外科医の頭の中の手術している場所の色、明るさ、質感と画面に映し出される色、明るさ、質感との差が画質の違和感として認識されます。画面の色は、各メーカーごとに違います。色の作り方が、白の強いもの、赤のきれいなもの、影がいいものと様々な特徴があります。メーカー間で統一されていません。

時間差については、遠隔手術ではなくても、現在の内視鏡手術でも違和感の経験があります。カメラ、ビデオデッキ、メインモニター(メーカー推奨)、サブモニター(手術室備え付けの天井吊りモニター、移動性に優れる)があるとします。デッキからモニター2台は直列に接続されます。デッキ→メイン→サブ、デッキ→サブ→メインの2通りの接続方法があります。今日は違う!と感じる日は、この接続順がいつもと逆であることが多いです。画質自体にも変化があります。手術室内だけでも接続順が異なるだけで生じる時間差。遠隔となるとたいへんなことになりそうです。

違和感というのは、「今日は違う!」と言葉になるまでには小さなストレスに留まっている長い潜伏期があります。ほとんどの外科医は、まず、自分を疑います。今日は調子が悪いのではないかと、まず自分を疑います。歳を重ねるごとにその傾向は強い気がします。自分の眼の不調をまず疑う。思わぬ出血などイベントが発生しない間は、我慢して今日の様子に慣れようとします。日本の外科医は特に器用な人が多いので、どんな道具も上手に使いこなす、過剰適応できてしまう人が多い。しかし、一旦、出血がなかなか止められないなど、過剰な負荷がかかると、ついに我慢の限界を超え、「今日は違う気がする」と発言します。

危機管理の面から考えても、発言になる前の段階で、過剰適応が発生する前にストレスをなくすことがとても大切です。人はどんなに悪い環境にでも適応できてしまう能力をもつ。ロボットにこの過剰適応という状態は難しいと思われます。故障、誤作動などにより作業は中断されると予想します。

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